思慮深い洞察力に基づく「知性」を忍耐強く育む
本学の源流は、1876(明治9)年、京都御苑内のJ.D.デイヴィス邸(旧柳原邸)に開設された女子塾(Kioto Home)にあります。開学当初の生徒数は僅か12名(寄宿生4名含む)でした。その後、近代日本社会にあって、女性教育の発展に寄与してきました。
戦後(1949年)、新学制のもと、同志社女子大学として新たな歩みを築き始めました。現在では、6学部11学科1専攻科5研究科、約6,400名の学生が学ぶ女性総合大学として、教育研究活動に邁進しております。きたる2026年に創立150年を迎えます。今日に至るまで、ご卒業生を始め多岐にわたる分野からのご支援に対して、心より感謝申し上げます。
開学以来、本学は創立者新島襄の志を受け継ぎ、キリスト教主義教育を尊重し、国際主義、リベラル・アーツを加えた3本柱を軸に画一的価値基準のみに縛られない「真理の複数性」を尊重した教育研究活動に挑戦してきました。
21世紀社会にあって分断と対立が加速化しています。加えて、急速に発展する「生成AI時代」の到来は、前例の無い事象を創出しています。また、日本のジェンダーギャップ指数の低さは喫緊の課題であります。このような時代状況の只中にあって、創立者が求めた「女権の拡張(人権尊重)」、さらに「慷慨心(社会の不義や不正を憤って嘆くこと)」の涵養に基づく女性教育の意義を再評価したく思います。
コロナ禍以後の「ニューノーマルの時代」にあって、拙速に短絡的な答えを求めるのではなく、思慮深い洞察力に基づく「知性」を忍耐強く育むことが期待されています。「つぎの50年(200周年)」を切り拓く、多様な「有形無形の宝」を共に探究したく思います。
引き続き、ご支援のほど、よろしくお願い致します。
同志社女子大学
学長小﨑 眞